歯周病と糖尿病の関わり
歯周病と糖尿病には深い関わりがあります。そもそも糖尿病とは、インスリンと呼ばれる膵臓から出るホルモンの分泌量が不足することで高血糖の状態が続き、様々な合併症を引き起こす病気です。病気が進行して血糖値が異常に高くなると、喉の渇きや疲れ、体重減少などの症状が現れることがありますが、初期の段階では自覚症状がほとんどないため気づかないうちに進行しているケースも多いのが特徴です。
自覚症状がないとはいえ、症状が悪化すると心臓病や脳卒中などといった重篤な合併症を引き起こすリスクもあるため、早期発見と治療が重要なのは言うまでもありません。糖尿病は、もともと遺伝によってかかりやすい体質を持っている人もいますが、ストレスや運動不足、食生活の乱れなどでもかかりやすいといわれるため、健康的な生活習慣を継続することが大切です。
生活習慣の乱れによってかかりやすいとされる歯周病は、重症化するとインスリンの働きが抑制されて血糖管理に悪影響を与えるため、糖尿病のリスクが高まります。歯周病自体は口内で起きている症状ですが、細菌は歯肉の毛細血管から侵入して全身に広がっていくため、インスリンの働きを阻害してしまうのです。反対に、糖尿病にかかっている人は高血糖の影響で唾液の分泌量が減り、口内環境の悪化が進みます。
唾液の分泌量が減少すると、本来唾液の働きによって行なわれるべき口内の洗浄作用が失われて歯石やプラークが付きやすくなり、その結果歯周病に感染するリスクが高まるだけでなく、発症後の進行スピードも速くなります。
このように、2つの病気は相互に悪影響を及ぼす関係性にあるため、糖尿病の治療を行なう人は歯科も受診して、歯周病が見つかった場合は治療を行なうことで糖尿病の治療効果を高めることができます。また、歯周病の予防または治療をすることで糖尿病の症状が改善されることが期待されるため、定期的な歯科検診を心がけて歯の健康状態を維持するようにしましょう。